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- 信頼性への取り組み: 会社の所在地・沿革・大和研究所・米沢生産は、Lenovoの公式サイトで確かめた(2026年10月23日時点)。NEC・富士通との資本関係や安全性に関する出来事は、各社の発表と報道にもとづく。原文を直接確かめられなかったものは、出典欄にそう書いている。
ThinkPadを買おうとして「Lenovo(レノボ)」という社名を見て、どこの国の会社なのか気になった人は多いと思う。ThinkPadは昔IBMのパソコンだったし、NECや富士通のパソコンとも関係があると聞く。「中国の会社だから危ない」という声も目に入る。この記事では、Lenovoがどこの国の会社か、ThinkPadとの関係、日本の開発拠点と工場、そして安全性の論点を、事実と出典をもとに整理する。
- Lenovoは中国の会社。1984年に北京で創業し、今は北京と米国ノースカロライナ州の2か所に本部を置く。株は香港で上場している
- ThinkPadはIBMから引き継いだブランド。2005年にLenovoがIBMのパソコン部門を買い、開発チームもそのまま移った
- ThinkPadの開発の中心は、横浜にある日本の「大和研究所」。生産の多くは中国などの工場で、一部の機種は山形県米沢市の工場で作られている
- NECと富士通のパソコン部門は、Lenovoが過半数を出資するグループ会社。NECや富士通という会社そのものがLenovoの傘下になったわけではない
- 安全性は、分かっていることと、分かっていないことを分けて考える。2015年のSuperfish問題はThinkPadには関係がなかった。一方で、米国の政府機関の一部はLenovo製品の利用を制限してきた。仕事で使うなら、まず勤め先の決まりを確かめたい(詳しく)
Lenovoはどこの国の会社?
結論からいうと、Lenovo(レノボ)は中国の会社と考えてよい。Lenovoの公式サイトによると、始まりは1984年、北京の小さな部屋で、1人の起業家と10人の技術者、25,000ドルの資金からだった(Lenovo・沿革)。創業したのは、中国科学院(国の研究機関)の計算技術研究所にいた柳伝志ら11人である。その後「Legend(レジェンド、聯想)」の名前でパソコンを売り出し、中国でトップのパソコンブランドに育った。
そのうえで、世界で事業をする会社でもある。公式サイトは、Lenovoは香港で設立・上場しており、本部は中国・北京と、米国ノースカロライナ州モリスビルの2か所にあるとしている(Lenovo・英語)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 創業 | 1984年、中国・北京 |
| 本部 | 中国・北京と、米国ノースカロライナ州モリスビル |
| 上場 | 香港 |
| 規模 | 売上高831億米ドル(2026年3月期、決算発表の報道による)。従業員は約77,000人(公式サイト) |
| 日本法人 | レノボ・ジャパン合同会社(2005年に発足)。販売・サポートと、大和研究所での開発を担う |
出典:Lenovo(拠点)、Lenovo(沿革)、Lenovo(概要)、Lenovo(大和研究所)
社名の「Lenovo」は、旧社名Legendの「Le」と、ラテン語で「新しい」を意味する「novo」を合わせたもので、2003年に新しい英語のブランド名として発表され、翌2004年に会社の英文名もLenovoになった。Legendという名前は海外ではすでに多くの会社が使っていて、商標として登録できなかったためとされる。
世界のパソコン出荷台数では、Lenovoは2013年に初めて1位になり、ここ数年も1位を続けている。調査会社IDCの速報では、2026年7〜9月の世界シェアは23.8%で1位だった(IDCの速報を伝える記事・英語)。
株主と中国の公的機関との関係
Lenovoの最大の株主は、もとは親会社だった中国の投資会社「聯想控股(Legend Holdings)」で、3割ほどの株を持つ。聯想控股には、中国科学院(中国の国立の研究機関)系の会社が出資している。つまり、中国の公的な機関が、間接的にLenovoの株を持っていることになる。「中国の会社だから心配」という声の背景には、この資本関係がある。安全性の話は後の節でまとめる。
ThinkPadはIBM生まれ
ThinkPadは、1992年にIBMが出したノートパソコンである。そのIBMのパソコン部門を、Lenovoが買い取った。2004年12月に発表し、2005年5月1日に買収が完了している(IBMの米国証券取引委員会への届け出・英語)。
- 金額:約12.5億ドル(現金と株式)。負債の引き受けを含めると約17.5億ドル
- 引き継いだもの:ThinkPadなどの「Think」ブランド、パソコンの開発・生産・販売の部門、そこで働く人たち
- IBMとの関係:IBMは買収の代わりにLenovoの株の18.9%を受け取り、しばらくは大株主になった。IBMの名前も5年間使えることになった
このとき、日本でThinkPadを開発していた大和研究所の技術者たちも、多くがLenovoに移った。会社が変わっても、ThinkPadを設計する人と拠点(大和研究所)はそのまま引き継がれた。開発の流れが途切れなかったのはこのためである。IBM時代の開発の話や、当時の技術者の思いはThinkPadの歴史の記事にまとめている。
「IBMのThinkPadとLenovoのThinkPadは別物か」という疑問もよく見る。会社とロゴは違うが、開発の流れは続いている。今売られているThinkPadは、すべてLenovoの製品である。
開発の中心は横浜の大和研究所
ThinkPadと日本の関係で、いちばん大きいのが「大和研究所」である。Lenovoは、大和研究所をThinkPadの中核となる研究開発拠点と説明している(Lenovo・大和研究所)。
- 1985年に、IBMの「大和事業所」として神奈川県大和市で発足した
- 1987年にノートパソコンの開発を始め、1992年に初代ThinkPad 700Cを送り出した
- 2005年からはレノボ・ジャパンの研究所になり、2011年に横浜・みなとみらいへ移った。名前は「大和」のまま残っている
- 200以上のハードウェアの試験と、700以上のソフトの互換性・使い勝手の評価を行っている
大和研究所は、日本向けだけでなく世界向けのThinkPadを開発している。Lenovoは中国・米国にも開発拠点を持ち、機種ごとに分担しているとされる。どのThinkPadのどの部分を大和が担当したかは、機種ごとに公表されているわけではない。
注意したいのは、大和研究所は開発の拠点で、工場ではないことだ。「ThinkPadは大和で作っている=日本製」と思われがちだが、作っている場所は次の節で説明する。大和研究所と利用者が直接話すイベントの歴史は大和魂イベントの記事で紹介している。
ThinkPadは日本製?工場はどこ
ThinkPadの生産の多くは、中国にあるLenovoの工場で行われている。Lenovoが2020年に公開した製造拠点の一覧には、中国・合肥の工場のほか、メキシコ、インド、米国ノースカロライナ州などの拠点が並ぶ(Lenovo・英語PDF)。部品は、CPUやSSDなど世界中のメーカーのものを使っている。
| 役割 | 場所 | 担当 |
|---|---|---|
| 開発 | 横浜(大和研究所)など | ThinkPadの研究・設計・試験 |
| 生産 | 中国が中心。日本では山形県米沢市 | 組み立て・検査 |
| 日本での販売 | 東京(レノボ・ジャパン) | 販売・サポート |
米沢生産のThinkPad
日本では、山形県米沢市にあるNECパーソナルコンピュータの工場で、一部のThinkPadを生産している。2015年に本格的に始まり、最初はX1 CarbonとX250だった(PC Watch)。
Lenovoの日本のサイトには「米沢生産モデル」の特集ページがあり、「長年NEC製品の品質を支えてきたノウハウをレノボ製品にも適用」「受注から最短5営業日での納品」と説明している(Lenovo・米沢生産モデル)。選べる機種は時期によって変わるので、買う前に特集ページで確かめてほしい。
米沢生産は、届くまでが早いことが分かりやすい利点である。品質については、NECパーソナルコンピュータが2017年から、日本向けの製品を作る中国の拠点の幹部に米沢の品質管理を教え、初期不良が3割減ったとPC Watchなどが報じている。米沢生産と中国生産で故障率がどれだけ違うかを示すデータは見つからなかった。
NEC・富士通との関係
「NECや富士通のパソコンの中身はレノボ?」という質問はとても多い。正確には、NECと富士通のパソコン部門に、Lenovoが過半数を出資している。NECや富士通という会社そのものが、Lenovoに買収されたわけではない。
| 会社 | 出資 | 今の関係 |
|---|---|---|
| NECパーソナルコンピュータ | 持株会社の普通株はLenovo 約95%・NEC 約5%(2016年〜)。NECは議決権の約3分の1を残したとされる | Lenovoグループ。NECブランドのパソコンを作り、米沢工場を持つ |
| 富士通クライアントコンピューティング | Lenovo 51%・富士通44%・政策投資銀行5%(2018年〜) | Lenovoグループ。富士通ブランドのパソコンを作る |
出典:クラウドWatch(2011年)、NEC(2016年)、PC Watch(富士通)。原文は直接確かめられておらず、報道や発表の要旨にもとづく。
NECとLenovoは2011年に「NECレノボ・ジャパングループ」をつくった。持株会社の下に、NECのパソコン部門を分けた「NECパーソナルコンピュータ」と「レノボ・ジャパン」が並ぶ形である。2011年の出資はLenovo 51%・NEC 49%だった。2016年には、NECが持株会社の普通株の9割をLenovoに譲り、普通株の持ち分は約5%になった。ただしNECは議決権の約3分の1を残し、重要な決定には拒否権を持つ形にしたとされる。
富士通は、2018年にパソコン子会社「富士通クライアントコンピューティング」の株の51%をLenovoに、5%を日本政策投資銀行に譲った。富士通は44%を持ち続けている。
NECのパソコン、富士通のパソコン、ThinkPadは、今も別の製品として、それぞれのブランドで売られている。
Lenovoは危険?バックドア説と事実
「Lenovoのパソコンは情報が抜かれる」「アメリカでは禁止されている」という話は、ネットでよく見かける。ここでは、実際にあった出来事と、分かっていないことを分けて整理する。
| 年 | 出来事 | ThinkPadとの関係 |
|---|---|---|
| 2006年 | 米国務省が購入したLenovoのデスクトップ約16,000台のうち、機密ネットワーク用の約900台を、議会の諮問委員会と下院議員の反対を受けて機密でない業務に回した | デスクトップの調達の話。製品の不具合が公表されたわけではない |
| 2013年 | 豪州の新聞が「米英豪などの情報機関の機密・最高機密のネットワークでLenovo製品が禁止されている」と報道。豪国防省は「事実と異なる」と否定し、新聞は記事を撤回しなかった | 報道のみ。具体的な製品の問題は示されていない |
| 2015年 | 2014年後半に出荷された個人向けノートの一部に、通信の安全性を弱める広告ソフト「Superfish」が最初から入っていたことが発覚 | LenovoはThinkPadは対象外と説明 |
| 2018年 | Superfishについて米連邦取引委員会(FTC)と和解。最初から入れるソフトのセキュリティ体制を20年間続け、外部の監査を受ける | Lenovo全体に関わる約束 |
| 2019年 | 米国防総省の監察官が、陸軍・空軍がリスクのある市販品としてLenovo製品などを買っていたと指摘。報告書は、国土安全保障省(2015年)や統合参謀本部の情報部門(2016年)がLenovo製品について警告や使用禁止を出していたことにも触れている。Lenovoは2023年に反論の文書を出した | 政府機関の調達の話 |
出典:Government Executive(2006年)、The Register(2013年)、Lenovo(Superfish)、FTC(2018年)、Military.com(2019年)。いずれも英語。原文は直接確かめられておらず、報道の要旨にもとづく。
分かっていることと、分かっていないこと
分かっているのは、米国の政府機関の一部が、安全保障の理由でLenovo製品の利用を制限してきたことである。各国の政府や軍は、中国の会社の製品を重要なネットワークに入れることに慎重で、Lenovoもその対象になってきた。
一方で、ThinkPadから中国の政府などに情報が送られていたことを示す公的な調査結果は、見つからなかった。バックドア(外から不正に入るための裏口)が仕込まれていたと公的に認定された例も、確認できなかった。また、一般の人がLenovoのパソコンを買うことを禁止した国も、確認できなかった。日本政府がLenovoを名指しで禁じた資料も見つからなかった。ただし「見つからない」ことは「絶対に安全」という証明ではない。
Superfish問題のくわしい内容と、「情報が抜かれる?」への答えは「ThinkPadはやめとけ?」の記事に書いた。ThinkPadには、改ざんを防ぐBIOSやTPMなどのセキュリティ機能もある(ThinkPadのセキュリティ機能の記事)。大和研究所も、BIOSの開発・レビューの手順や、工場からの出荷時の部品とBIOSを記録して改ざんを確かめるしくみ(ThinkShield Build Assure)を公開している(Lenovo・サプライチェーン・セキュリティ)。
不安な人はどう選ぶ?
事実を知ったうえでも、気になる人はいると思う。不安の大きさに合わせて、次のように考えるとよい。
- 会社や役所で使うなら、勤め先の決まりに従う。中国の会社の製品を使えない職場や取引先はある。個人の判断より規則が先である
- 公式ストアか、信頼できる販売店で買う。出どころの分からない中古や並行輸入品は、前の持ち主が何を入れたか分からない
- 気になるならWindowsを入れ直す。最初から入っているソフトが心配なら、Microsoftの手順でWindowsをきれいに入れ直せる(初期化の記事)
- 日本での生産を選びたいなら、米沢生産モデルを選ぶ。ただし部品は世界中のものなので、「すべて日本製」になるわけではない
- BIOSとWindowsを最新に保つ。どのメーカーのパソコンでも、基本となる対策である
なお、どの国のメーカーでも、パソコンの部品の多くは中国やアジアの工場で作られている。「中国の会社かどうか」だけで安全・危険を分けるのは難しい、ということも覚えておきたい。
Lenovoの評判は悪い?
ThinkPadは、Lenovoの製品の中でも法人向けの上位ブランドにあたる。それでも「評判が悪い」という声が出るのは、主に次の理由による。
- 価格の幅が広い。数万円の個人向けノートから、数十万円の法人向けThinkPadまである。安いモデルの不満が「Lenovo全体の評判」として語られやすい
- 過去の出来事のイメージ。Superfish問題(2015年)は今も「やめとけ」の理由として挙げられる
- サポートの評価が分かれる。窓口や修理の体験談は良い悪いの両方がある(保証・修理の記事)
ThinkPadに限ると、法人での採用が多く、キーボードや頑丈さの評価は高い。製品としての不満(デザインが地味、構成が分かりにくいなど)は「やめとけ」の記事で、なぜ人気があるのかは次の記事でくわしく書いている。

ThinkPadとほかのLenovo製品
Lenovoには、ThinkPadのほかにもいくつものブランドがある。「Lenovoのパソコン」と一口に言っても、中身は大きく違う。
| ブランド | 向け | 特徴 |
|---|---|---|
| ThinkPad | 法人・プロ | IBMから引き継いだ主力。大和研究所が開発の中心。黒が基本のボディと赤いTrackPoint |
| ThinkBook | 中小企業・個人 | ThinkPadより価格を抑えたビジネス向け |
| IdeaPad | 個人 | 手ごろな価格の個人向けノート |
| Yoga | 個人 | デザインや2-in-1を重視した個人向け |
| Legion | ゲーム向け | ゲーミングPC |
このほか、スマートフォンのMotorola(2014年に買収)や、タブレット、サーバーもLenovoのブランドである。ThinkPadとThinkBookの違いはThinkPadとThinkBookの比較にまとめている。
ThinkPadの選び方
ThinkPadを選ぶなら、用途と予算で選んだThinkPadおすすめ8選から見るのが早い。定番の3機種の価格は次のとおり。
よくある質問
- Lenovoは中国の会社ですか?
-
中国で生まれた会社である。1984年に北京で創業し、今は北京と米国ノースカロライナ州の2か所に本部を置き、香港で上場している。
- ThinkPadは今もIBMの製品ですか?
-
違う。2005年にLenovoがIBMのパソコン部門を買収し、今のThinkPadはLenovoの製品である。開発チームと大和研究所はLenovoに引き継がれた。
- ThinkPadは日本製ですか?
-
開発の中心は横浜の大和研究所だが、生産の多くは中国などの工場である。一部の機種は山形県米沢市の工場で作る「米沢生産モデル」を選べる。
- NECはレノボの傘下ですか?
-
NECのパソコン部門(NECパーソナルコンピュータ)はLenovoグループの会社である。NECは持株会社の普通株の約5%を持ち、議決権は約3分の1を残したとされる。NECという会社そのものはLenovoの傘下ではない。
- 富士通のパソコンはレノボ製ですか?
-
富士通のパソコンを作る富士通クライアントコンピューティングに、Lenovoが51%、富士通が44%出資している。製品は富士通ブランドとして開発されている。
- Lenovoのパソコンが禁止されている国はありますか?
-
米国の国務省や国防総省の一部など、政府機関の一部で利用が制限された例はある。一般の人の購入を禁止した国は確認できなかった。
- Lenovoのパソコンは危険ですか?
-
2015年にSuperfishという問題があったが、ThinkPadは対象外だった。ThinkPadから情報が送られていたことを示す公的な調査結果は見つからなかった。職場で使うなら勤め先の決まりに従うのが確実である。
- レノボ・ジャパンは日本の会社ですか?
-
Lenovoの日本法人である。2005年に発足し、ThinkPadなどの販売・サポートと、大和研究所での開発を担っている。
まとめ
Lenovoは、1984年に北京で生まれた中国発のパソコンメーカーで、今は北京と米国に本部を置く世界最大のパソコンメーカーである。ThinkPadは2005年にIBMから引き継いだブランドで、開発の中心は今も横浜の大和研究所にある。生産の多くは中国などの工場で、一部は米沢で作られている。
安全性については、Superfish問題はThinkPadに関係がなく、ThinkPadから情報が抜かれたことを示す公的な調査結果も見つからなかった。一方で、米国の政府機関の一部が利用を制限してきたのも事実である。確かめた範囲では、個人がThinkPadを買って使うことを避けるべき公的な理由は見つからなかった。仕事で使う人は勤め先の規則を先に確かめ、個人で使う人は公式の購入先で買い、BIOSとWindowsを最新に保ちたい。
ThinkPadの中身やしくみは、次のハブ記事から読める。





