ThinkPad T14sは、ThinkPad Tシリーズの中でも「性能・軽さ・実用性」のバランスを追求してきた14型モバイルノートです。
現在の「T14s」という名称が登場したのは2020年。T490sの後継としてGen 1が登場して以来、毎年のようにCPUや筐体をアップデートし、2026年にはGen 7まで進化しました。
ただ、T14sの歴史を振り返ると、単純にCPUだけが新しくなってきたわけではありません。
2022年のGen 3ではディスプレイが16:9から16:10へ変更。2024年のGen 5ではCore UltraとNPUを初搭載し、Gen 6ではIntel・AMD・Snapdragonという3つのプラットフォームへ拡大。そして2026年のGen 7では、Intel版で約1.06kg〜というX1 Carbonに迫る軽さまで到達しています。
この記事では、2020年のGen 1から最新Gen 7まで、ThinkPad T14sがどのように変わってきたのかを年表とともに振り返ります。
最新モデルを比較して選びたい方は、先に「ThinkPad T14s完全ガイド」もあわせてご覧ください。

T14s歴代モデル年表
まず、T14sの歴史を一覧で整理すると次のようになります。
| 年 | 世代 | 主なCPU | 大きな変化 |
|---|---|---|---|
| 2020 | Gen 1 | 第10世代Core Ryzen PRO 4000 | T490sからT14sへ名称変更 |
| 2021 | Gen 2 | 第11世代Core Ryzen PRO 5000 | CPU・GPU性能を底上げ |
| 2022 | Gen 3 | 第12世代Core Ryzen PRO 6000 | 16:10ディスプレイへ変更 |
| 2023 | Gen 4 | 第13世代Core Ryzen PRO 7000 | Gen 3筐体を熟成 |
| 2024 | Gen 5 | Core Ultra Series 1 | NPU初搭載・デザイン刷新 |
| 2024〜25 | Gen 6 | Core Ultra Series 2 Ryzen AI PRO 300 Snapdragon X | Copilot+ PC時代へ |
| 2026 | Gen 7 | Core Ultra Series 3 Ryzen AI 400 Snapdragon X2 | 大幅軽量化・AI性能強化 |

Gen 1〜4まではIntelとAMDを中心に進化してきましたが、Gen 5からAI PCへの転換が始まり、Gen 6ではSnapdragonが加わりました。
そしてGen 7では、同じT14sという名前の中にIntel・AMD・Snapdragonという性格の異なる3モデルが並ぶ現在のラインナップが完成しています。
ここからは、それぞれの世代を詳しく見ていきます。
Gen7|軽量化の完成形
2026年に登場したT14s Gen 7は、歴代T14sの中でもかなり大きな進化を遂げた世代です。
CPUはIntel Core Ultra Series 3(Panther Lake)、AMD Ryzen AI 400シリーズ、Qualcomm Snapdragon X2シリーズの3系統。
単なるCPU更新だけではなく、筐体そのものも見直されています。
Intel版は最軽量構成で約1.065kg、AMD版も約1.09kg〜。初代T14s Gen 1が約1.27kg〜だったことを考えると、14型の実用性を維持したまま約200gの軽量化を実現したことになります。
特にIntel版は、従来のT14sというよりも重量だけを見ればX1 Carbonにかなり近い領域まで入ってきました。
一方、Snapdragon版は約1.21kg〜とIntel/AMD版より重いものの、Snapdragon X2 Elite/X2 Plusを採用。NPU性能はGen 6 Snapdragonの最大45 TOPSから最大80 TOPSへ大幅に強化されています。
つまりGen 7は、「軽量なTシリーズ」というT14s本来のコンセプトを改めて強く打ち出した世代といえるでしょう。



Gen 7は歴代T14sの中でも、軽さ・性能・AI対応を高いレベルでまとめた世代です。特に約1.1kg前後まで軽量化されたIntel/AMD版は、T14sとX1 Carbonの境界をかなり縮めました。
Gen6|AI PCへの転換
T14sの歴史で少し特殊なのがGen 6です。
Gen 6はすべてのモデルが同時に登場したわけではありません。
最初に登場したのは2024年5月のSnapdragon版。Lenovo初のSnapdragon X Elite搭載Copilot+ PCのひとつとして発表されました。
その後、日本では2025年にIntel Core Ultra 200V(Lunar Lake)、Core Ultra 200U/H(Arrow Lake)、AMD Ryzen AI PRO 300搭載モデルが加わり、ひとつのT14sにIntel・AMD・Qualcommという3社のプラットフォームが揃いました。
ここが、それまでのT14sとの大きな違いです。
Intel版だけでも、省電力性を重視したLunar LakeとCPU性能を重視したArrow Lakeが存在します。さらにAMD、Windows on ArmのSnapdragonまで加わったため、「T14sを選ぶ=CPUを選ぶ」という時代になりました。
| Gen 6 | 特徴 |
|---|---|
| Intel Lunar Lake | バッテリー・省電力・Copilot+ |
| Intel Arrow Lake | CPU性能・互換性重視 |
| AMD | CPU・GPU性能とのバランス |
| Snapdragon | 長時間駆動・Windows on Arm |
Gen 6は、T14sが従来型ビジネスノートから「AI PCプラットフォーム」へ変わった世代と考えると分かりやすいでしょう。




型落ちになったGen 6は、2026年現在でも非常に魅力があります。特にセール価格次第ではGen 7よりコストパフォーマンスが高くなるため、最新世代だけでなくGen 6も比較する価値があります。
Gen5|初めてのAI PC
2024年のT14s Gen 5は、現在のT14sにつながるデザインが完成した重要な世代です。
CPUにはIntel Core Ultra Series 1(Meteor Lake)を採用。T14sとして初めてNPU「Intel AI Boost」を搭載し、AI処理をCPUやGPUとは別に実行できるようになりました。
ただし、現在のCopilot+ PCで求められる40 TOPS以上のNPUではなく、最大11 TOPS。位置づけとしては「AI PCの第一世代」と考えるのが適切です。
また、Gen 5ではカメラ部分を少し張り出させた「コミュニケーションバー」を採用。画面を開きやすくすると同時にベゼルを狭くし、Web会議用のカメラやマイクも強化されました。
さらに、長年のThinkPadユーザーには大きな変更だったのがCtrlキーとFnキーです。
従来のThinkPadでは左下にFnキー、その右側にCtrlキーが配置されていましたが、Gen 5では一般的なPCと同じく左端がCtrlキーとなりました。
Gen 5は「今のT14sの原型」ができた世代です。デザイン、Core Ultra、NPU、コミュニケーションバーなど、Gen 4以前からの変化はかなり大きくなっています。
Gen3〜4|16:10時代へ
中古や型落ちのT14sを見るうえで、ひとつの大きな境界線になるのがGen 3です。
Gen4|完成度を高める
2023年のGen 4は、Intel第13世代CoreとAMD Ryzen PRO 7000シリーズを採用。
筐体そのものはGen 3の考え方を引き継ぎながら、CPUやカメラ、ディスプレイなどをブラッシュアップした「熟成型」の世代です。
Intel版では最大5MPカメラも選択でき、AMD版ではWUXGAの低消費電力パネルなど複数の16:10ディスプレイが用意されました。
大幅な設計変更がない分、中古や型落ちで価格が下がっていれば、今でもバランスのよい選択肢です。
Gen3|16:10へ変更
2022年のGen 3は、T14sの歴史の中でも特に重要なモデルです。
最大の変更はディスプレイ。
Gen 1〜2までの16:9から16:10へ変更され、標準解像度も1920×1080から1920×1200へ。縦方向の表示領域が広がり、Web、Word、Excelなどの仕事ではかなり使いやすくなりました。
CPUはIntel第12世代CoreとAMD Ryzen PRO 6000。AMD版ではUSB4にも対応しています。
なお、旧記事ではGen 3を「最大64GBメモリ」としていましたが、Lenovo公式PSREFではIntel版・AMD版とも最大32GBです。メモリはオンボードで、購入後の増設には対応していません。
中古T14sを探すなら、ThinkNaviではGen 3以降をひとつの目安にします。16:10化による使い勝手の差が大きく、現在のT14sにもつながる基本設計になったためです。
Gen1〜2|T14sの原点
Gen 1〜2は、まだT490sの面影を色濃く残していた初期のT14sです。
Gen2|性能を底上げ
2021年のGen 2ではIntel第11世代Core(Tiger Lake)とAMD Ryzen PRO 5000シリーズを採用。
Intel版ではIris Xe Graphicsを搭載し、内蔵GPU性能が大きく向上しました。AMD版では最大8コア16スレッドのRyzen 7 PRO 5850Uまで選択できます。
ディスプレイはまだ16:9ですが、処理性能だけを見れば現在でもOfficeやWeb中心の用途なら十分使える構成があります。
ただし中古では、CPU性能以上にバッテリーの劣化状態を確認したい世代です。
Gen1|T14s誕生
2020年、T490sの後継として誕生したのが初代ThinkPad T14s Gen 1です。
Intel版は第10世代Core、AMD版はRyzen PRO 4000シリーズを搭載。
AMD版ではRyzen 5 PRO 4650Uが6コア12スレッド、Ryzen 7 PRO 4750Uが8コア16スレッドとなり、当時の薄型ビジネスノートとして高いマルチコア性能を実現しました。
重量は最軽量構成で約1.27kg〜。
現在のGen 7 Intelが約1.065kg〜なので、7世代をかけてT14sは約200g軽くなったことになります。
一方で、14型・TrackPoint・十分なインターフェース・法人向けセキュリティという基本コンセプトは、現在まで大きく変わっていません。
2-in-1も登場
T14sの歴史には、2025年からもうひとつの系譜が加わりました。
「ThinkPad T14s 2-in-1」です。
従来のクラムシェル型T14sとは異なり、ディスプレイを360度回転でき、ノートPC・テント・スタンド・タブレットとして利用できます。
| 年 | モデル | 特徴 |
|---|---|---|
| 2025 | T14s 2-in-1 Gen 1 | T14s初の360度回転モデル |
| 2026 | T14s 2-in-1 Gen 2 | 最新CPU・Copilot+ PCへ進化 |
Gen 1はCore Ultra 200U/Hシリーズを搭載し、14型WUXGAタッチディスプレイやペン入力に対応。2026年にはGen 2へ更新されています。
通常のT14sとは用途がやや異なるため、本記事では派生モデルとして分けて考えるのがおすすめです。

中古はどこから狙う?
2026年現在、中古・型落ちのT14sを選ぶなら、世代ごとの位置づけは次のように考えると分かりやすいでしょう。
| 世代 | 2026年の評価 | おすすめ度 |
|---|---|---|
| Gen 1 | かなり安ければ候補 | ★★☆☆☆ |
| Gen 2 | 低予算向け | ★★★☆☆ |
| Gen 3 | 16:10で実用性十分 | ★★★★☆ |
| Gen 4 | 性能・価格のバランス良好 | ★★★★★ |
| Gen 5 | Core Ultra搭載の狙い目 | ★★★★☆ |
| Gen 6 | AI PCを安く買う有力候補 | ★★★★★ |
| Gen 7 | 最新・長期利用向け | ★★★★★ |
特に注意したいのがメモリです。
T14sは歴代モデルを通してメモリが基本的にオンボード実装で、購入後に増設できません。
中古で8GBモデルが安く販売されていても、2026年にメインPCとして使うなら16GB以上をおすすめします。長く使うなら32GBも検討したいところです。
また、Gen 1〜2では16:9ディスプレイ、Gen 3以降は16:10という違いもあります。
価格差がそれほど大きくないのであれば、ThinkNaviではGen 3以降を優先します。
T14s進化の軌跡
あらためて7世代を振り返ると、T14sにはいくつかの大きな転換点がありました。
2020年のGen 1でT490sからT14sへ。
2022年のGen 3で16:10ディスプレイへ。
2024年のGen 5でCore UltraとNPUを搭載し、AI PCへ。
Gen 6ではIntel・AMDにSnapdragonが加わり、Copilot+ PC時代へ突入。
そして2026年のGen 7では、Intel版約1.065kg〜、AMD版約1.09kg〜まで軽量化されました。
性能だけを見ると毎年少しずつ進化しているように見えますが、T14sの本質はむしろ一貫しています。
「14型の仕事道具として必要な実用性を残しながら、どこまで薄く、軽く、快適にできるか」
これがT490sからT14sへ受け継がれてきたテーマです。
Gen 7ではついにX1 Carbonに近い重量まで軽くなりながら、Intel・AMD・Snapdragonを選択できる独自の立ち位置を確立しました。
中古のGen 3やGen 4を安く購入するのもよし、完成度の高いGen 6を型落ちで狙うのもよし、最新Gen 7を長く使うのもよし。
歴代モデルを知ると、自分に必要なT14sがどの世代なのかも見えやすくなります。
現在販売されているT14sの違いや最新価格、おすすめ構成については、以下の「ThinkPad T14s完全ガイド」で詳しく比較しています。


