2025年、ThinkPadのフラッグシップ「X1 Carbon」が大きな転換点を迎えました。 最新のThinkPad X1 Carbon Gen 13 Aura Editionは、同じ「Gen 13」という名前でありながら、中身が全く異なる2つのモデル(ILLとIAL)が存在します。
- ILL(Lunar Lake): 省電力・AI特化・超軽量(Copilot+ PC準拠)
- IAL(Arrow Lake): パワー・16コアCPU・高負荷対応
「え、どっちを選べばいいの?」「Gen 12とは何が違うの?」 そんな迷えるThinkPadファンのために、プロの視点でILLとIALの決定的な違いと選び方を徹底解説します。
特に今回は、カタログスペックだけでは見えにくい「日本仕様独自のメモリ制限の罠」についても正直に触れながら、あなたに最適な相棒を提案します。
本記事では、ThinkPad専門ブログの視点から ILL(Lunar Lake)とIAL(Arrow Lake)の違いと選び方 をわかりやすく解説。購入前にチェックすべきポイントを整理し、あなたに合った1台を見つけるための指針をお届けします。
30秒でわかる:ILLとIAL、あなたはどっち派?

結論から言えば、「軽さとバッテリーを取るか(ILL)」「圧倒的なCPUパワーを取るか(IAL)」です。 迷う時間を節約するために、まずは以下の比較表で自分に合うモデルを直感的に判断してください。
| 特徴 | ILL (Lunar Lake) | IAL (Arrow Lake) |
| 最大の強み | 超軽量・バッテリー・AI | 16コアCPUの暴力的なパワー |
|---|---|---|
| PCタイプ | Copilot+ PC準拠 | ワークステーション寄り |
| CPUコア数 | 8コア (省電力設計) | 最大16コア (Hシリーズ) |
| AI処理 (NPU) | 40+ TOPS | 10〜20 TOPS |
| メモリ (日本仕様) | 最大32GB (CPU統合) | 最大32GB (※現状制限あり) |
| 重量 | 約986g〜 | 約1.01kg〜 |
| バッテリー | 最大16.6時間 | 最大15.5時間 |
| 向いている人 | モバイル族、AI活用、エグゼクティブ | 開発者、動画編集、パワー重視 |
それぞれのモデルを深く知りたい方は、以下の詳細レビューもあわせてご覧ください。


【ILL】Lunar Lakeモデルの特徴:1kg切りのモバイル完成形

Lunar Lake搭載モデル(ILL)は、ThinkPad X1 Carbon Gen 13の中でも「モバイル性能の極地」を目指した構成です。
NPU(AI専用プロセッサ)の性能は40 TOPS超。Microsoftの「Copilot+ PC」要件を満たしており、Web会議のリアルタイム補正やローカルLLM(AI)の動作において、圧倒的な省電力性と速度を発揮します。
CPUとメモリを一体化した「MOP」技術により、最軽量モデルは約986gを実現。バッテリー駆動時間も最大16.6時間と長く、「ACアダプタを持ち歩かない生活」が現実のものとなります。
【IAL】Arrow Lakeモデルの特徴:16コアの猛獣
Arrow Lake搭載モデル(IAL)は、一見するとILLと似ていますが、その本質は「羊の皮を被ったワークステーション」です。
ILLモデルが省電力重視の8コアであるのに対し、IALモデル(Hシリーズ選択時)は倍の「最大16コア」を搭載しています。 動画の書き出し、大量のコードコンパイル、仮想マシンの複数起動など、「CPUの馬力がモノを言う作業」においては、IALが圧倒的な処理速度を見せつけます。
Hシリーズ搭載モデルでは、現行最速のPCIe Gen 5 SSDを選択可能(オプション)。巨大なプロジェクトファイルを扱うクリエイターにとって、読み書きの待ち時間を極限まで削れるのは大きなメリットです。
IALモデル限定で、ボタン一つで横からの覗き見をブロックする「Privacy Guard液晶」が選択可能です。
【重要】購入前の注意点:メモリ選びの「罠」
ここで、ThinkPadファンとして正直にお伝えしなければならない「不都合な真実」があります。
海外発表では「IALモデルは最大64GBメモリ対応」と話題になりましたが、2025年現在、日本のレノボ直販サイトではIALモデルも「最大32GB」までの対応となっています。
つまり、現状の日本モデルにおいては:
- ILL: 最大32GB
- IAL: 最大32GB
となり、「メモリ容量」での差別化はできません。
だからこそ、選び方の基準はシンプルになります。 同じ32GBメモリだとしても、「バッテリーとAI効率(ILL)」を取るか、「16コアのCPU演算能力(IAL)」を取るか。これがGen 13選びの最大の分かれ道です。
Gen 12 vs Gen 13|進化したポイント
前世代(Gen 12)からの進化点は、CPUだけではありません。Gen 13の共通仕様である**「Aura Edition」**としての機能刷新が見逃せません。
- Smart Modes: 作業内容に応じて、パフォーマンスや電源設定をAIが自動最適化。
- TrackPoint クイックメニュー: 赤ポチをダブルタップするだけで、よく使う設定へ即座にアクセス。
- Wi-Fi 7 & Bluetooth 5.4: 通信周りも最新規格へアップデート。
【結論】あなたにおすすめなのはこっち!
最後に、利用シーン別の推奨モデルをまとめます。
- 移動が仕事の一部である: 1gでも軽く、ACアダプタから解放されたい。
- 最新トレンドに敏感: 「Copilot+ PC」のAI機能をフル活用したい。
- 一般的なビジネス用途: Office、Web会議、ブラウザ業務がメイン。
- パワーユーザー・開発者: メモリは32GBで足りるが、CPUパワー(16コア)は妥協したくない。
- クリエイター: 動画編集やレンダリング時間を1秒でも短縮したい。
- セキュリティ重視: 外での作業用に「Privacy Guard」液晶が必要。
どちらのモデルも、LenovoとIntelがタッグを組んだ「Aura Edition」の名に恥じない仕上がりです。 自分のワークスタイルに最適な「エンジン」を選んで、最高のモバイル体験を手に入れてください。
週末や夜間の限定セールで、価格は頻繁に変動します。まずは公式ストアで現在の価格を確認することをおすすめします。

