テンキー付きの16型で、外出先でもバッテリーを気にせず仕事をしたい。そんな人に向くのが、Intel Core Ultra シリーズ2(Lunar Lake)を搭載したThinkPad E16 Gen 3 ILLである。
Lunar Lakeは電力効率を重視したプラットフォームであり、Copilot+ PCに対応するNPU(AIの処理専用のチップ)やIntel Arc Graphicsを搭載。16型の大画面とテンキーを備えながら、約1.62kgからの重量に収めている。
同じE16 Gen 3にはArrow Lake搭載のIALもあるが、ILLはメモリをCPUパッケージに統合し、省電力性とAI性能を重視した構成となっている。
一方、メモリは購入後に増設できず、SSDも1スロットである。AI性能やバッテリーを重視するか、将来の拡張性を重視するかが、IALとの大きな選択ポイントになる。
本記事では、Lunar Lakeの性能、ディスプレイや端子、IAL・Gen 4との違いを整理し、どの構成を選ぶべきかを解説する。
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特徴と向いている人
ThinkPad E16 Gen 3 ILLの特徴は、16型の作業性と、省電力性・AI性能を重視したLunar Lakeを組み合わせていることだ。
| 注目点 | 内容 |
|---|---|
| CPU | Core Ultra 5 / 7 シリーズ2 |
| アーキテクチャ | Lunar Lake |
| Copilot+ PC | 対応 |
| NPU | 最大48TOPS |
| GPU | Intel Arc Graphics 130V / 140V |
| メモリ | 16GB / 32GB LPDDR5X |
| メモリ増設 | 非対応 |
| SSD | M.2 SSD×1 |
| 画面 | 16型 WUXGA / WQXGA |
| 高速USB-C | Thunderbolt 4×2 |
| キーボード | テンキー搭載 |
| バッテリー | 48Wh / 64Wh |
| 重量 | 約1.62kg~ |
特に、Excelや資料作成で広い画面を使いながら、Web会議や外出先での業務もこなしたい人に向いている。
高いCPU性能を長時間維持することより、一般業務での応答性や電力効率を重視したい場合に検討しやすい。
16型の大画面とCopilot+ PCを両立し、省電力性を重視する人向けのThinkPadである。
主なスペック
ThinkPad E16 Gen 3 ILLの主な仕様は以下の通り。
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| CPU | Core Ultra 5 / 7 シリーズ2 |
| CPU世代 | Lunar Lake |
| GPU | Intel Arc Graphics 130V / 140V |
| NPU | Intel AI Boost、最大48TOPS |
| Copilot+ PC | 対応 |
| メモリ | LPDDR5X-8533 |
| メモリ容量 | 16GB / 32GB |
| メモリ増設 | 非対応 |
| SSD | PCIe 4.0 NVMe |
| SSDスロット | 1スロット |
| ディスプレイ | 16型 WUXGA / WQXGA IPS |
| バッテリー | 48Wh / 64Wh |
| 高速USB-C | Thunderbolt 4×2 |
| 無線LAN | Wi-Fi 6 / 6E / 7、構成による |
| 重量 | 約1.62kg~ |
| サイズ | 約356×249mm |
| 最大厚 | 約21.15~21.95mm |
| OS | Windows 11 Home / Pro |
Lunar Lakeは、一般的なSO-DIMMメモリを搭載するIALとは異なる。
メモリ容量がCPUの選択と結びついていることは、購入前に理解しておきたい。
デザインと携帯性
ThinkPadらしいブラックの筐体に、赤いTrackPointを配置する。
本体サイズは約356×249mm。重量は約1.62kgからとなる。
16型の大画面を搭載するため、14型のE14ほどコンパクトではない。一方、従来の大型ノートPCのように完全な据え置き用途へ限定される重量でもない。
自宅とオフィスを行き来しながら、広い画面で仕事をしたい人に向く。
筐体はアルミニウム製の天板を採用し、底面は構成によってアルミニウムまたはPC-ABS樹脂となる。
IALと外観は近いが、ILLはLunar Lakeを採用することで、16型モデルとしての作業性と省電力性を両立させている。
CPU・GPU性能
ThinkPad E16 Gen 3 ILLには、Lunar Lake世代のCore Ultra 5 / 7を採用する。
Lunar Lakeの特徴は、CPUのコア数を増やして最高性能を追うことより、CPU・GPU・NPUを組み合わせて電力効率を高めている点にある。
Core Ultra 5を基本に選ぶ
主なCPUの違いを整理すると以下の通り。
| CPU | コア / スレッド | GPU | NPU |
|---|---|---|---|
| Core Ultra 5 226V | 8コア / 8スレッド | Arc 130V | 最大40TOPS |
| Core Ultra 5 228V | 8コア / 8スレッド | Arc 130V | 最大40TOPS |
| Core Ultra 5 238V | 8コア / 8スレッド | Arc 130V | 最大40TOPS |
| Core Ultra 7 256V | 8コア / 8スレッド | Arc 140V | 最大47TOPS |
| Core Ultra 7 258V | 8コア / 8スレッド | Arc 140V | 最大47TOPS |
| Core Ultra 7 268V | 8コア / 8スレッド | Arc 140V | 最大48TOPS |
※販売されるCPUは地域・構成によって異なる。一部CPUは法人向けの特別構成となる。
Word、Excel、PowerPoint、Webブラウザー、Web会議などが中心なら、Core Ultra 5を基準に考えたい。
Core Ultra 7ではCPUクロックやGPU構成が強化されるが、一般業務だけなら上位CPUが必須というわけではない。
CPUとメモリ容量の関係
Lunar Lakeでは、メモリがCPUパッケージに統合されている。
そのため、CPUの型番によって選択できるメモリ容量が変わる。
| CPU | メモリ |
|---|---|
| Core Ultra 5 226V | 16GB |
| Core Ultra 5 228V | 32GB |
| Core Ultra 5 238V | 32GB |
| Core Ultra 7 256V | 16GB |
| Core Ultra 7 258V | 32GB |
| Core Ultra 7 268V | 32GB |
例えば、Core Ultra 7 256Vは上位CPUだがメモリは16GBである。
一方、Core Ultra 5 228Vなら、32GBメモリを選択できる。
CPUのグレードだけでなく、必要なメモリ容量から構成を考えることが重要だ。
Intel Arc Graphicsを搭載
GPUはIntel Arc Graphics 130Vまたは140Vを搭載する。
Core Ultra 5では主に130V、Core Ultra 7では140Vとなる。
Officeや動画再生、外部ディスプレイへの出力だけでなく、GPUを利用する画像処理などにも対応できる。
ただし、本格的な3D CADや長時間のGPUレンダリングを目的とするモデルではない。
GPU性能を重視するなら、CPU名だけでなく、Arc 130Vと140Vの違いを確認したい。
Copilot+ PCとAI性能
ILLはCopilot+ PCに対応する。
NPU性能は最大48TOPSで、Windowsの対応AI機能をローカルで処理できる。
背景効果など、NPU対応のAI処理をCPUやGPUとは別に実行できる点が特徴だ。
一方、Copilot+ PCに対応しているからといって、すべてのOfficeやブラウザー処理が速くなるわけではない。
通常のWeb会議や資料作成だけなら、IALでも十分検討できる。
ILLを選ぶ場合は、Copilot+ PC対応に加え、Lunar Lakeの省電力設計やIntel Arc Graphicsにも価値を感じるかで判断したい。
ディスプレイ
ThinkPad E16 Gen 3 ILLは、16型・16:10ディスプレイを採用する。
WUXGAに加え、100% sRGB・120HzのWQXGAも用意されている。
| 項目 | WUXGA | WQXGA |
|---|---|---|
| 解像度 | 1920×1200 | 2560×1600 |
| 輝度 | 300nit | 400nit |
| 色域 | 45% NTSC | 100% sRGB |
| リフレッシュレート | 60Hz | 120Hz VRR |
| タッチ | 構成による | 非対応 |
| 表面 | 非光沢 | 非光沢 |
Office中心ならWUXGA
WUXGAは1920×1200の16:10ディスプレイである。
16型なのでExcelや資料を広く表示でき、複数ウィンドウを使った作業にも向く。
一方、標準パネルは45% NTSCで、色域は広くない。
写真編集やデザインなど、正確な色を扱う用途では注意したい。
WQXGAは100% sRGB
WQXGAは2560×1600、400nit、100% sRGB、120Hzに対応する。
解像度だけでなく、明るさや色再現性も強化されている。
写真や画像編集を行う場合はもちろん、表示の精細さや滑らかさを重視する人にも検討しやすい。
ただし、高解像度パネルは消費電力が増える可能性があるため、バッテリー駆動時間を優先する場合はWUXGAも候補になる。
一般業務ならWUXGA、画質を重視するならWQXGAを選びたい。

端子と拡張性
ILLは、Thunderbolt 4を2ポート搭載する。
| 端子 | 数量 |
|---|---|
| Thunderbolt 4 | 2 |
| USB-A 10Gbps | 1 |
| USB-A 5Gbps | 1 |
| HDMI 2.1 | 1 |
| RJ-45 | 1 |
| オーディオ端子 | 1 |
Thunderbolt 4は最大40Gbpsの転送速度に対応し、USB PDとDisplayPort出力も利用できる。
USB-Cドックを使った外部ディスプレイや周辺機器の接続に向く。
また、有線LANとHDMIも本体に搭載するため、オフィスや会議室でも使いやすい。
一方、SDカードスロットは搭載しない。
メモリは増設不可
ここはILLを選ぶうえで最も重要な注意点である。
メモリはLPDDR5X-8533をCPUパッケージに統合した構造で、SO-DIMMスロットは搭載しない。
そのため、購入後に16GBから32GBへ増やすことはできない。
OfficeやWeb会議中心なら16GBでも検討できるが、数年間使うことを考えて余裕を持たせたいなら、最初から32GBを選びたい。
SSDは1スロット
SSDもIALとは異なり、1台構成となる。
IALのように2台目を追加することはできないため、ストレージ容量を多く使う場合は購入時に余裕を持たせたい。
SSD自体の交換は可能だが、購入構成によって搭載SSDの形状表記が異なるため、交換する場合は実際の搭載部品と適合サイズを確認したい。
ILLは省電力性やAI性能を重視した構成であり、メモリやSSDの拡張性はIALより小さい。
キーボードと操作性
E16では、16型の横幅を活かしたテンキー付きキーボードを搭載する。
Excel、会計、在庫管理、見積書作成など、数字を頻繁に入力する業務では14型のE14より便利だ。
キーボードは6列構成で、基本キーストロークは1.5mm。Fn列とG/H/Bキーは1.35mmとなる。
TrackPoint、3ボタン構成のクリックパッド、Copilotキー、防滴構造も備える。バックライトは構成によって異なる。
一方、テンキー付きのため、文字入力部分は本体中央からやや左側に配置される。
テンキーをほとんど使わず、携帯性を優先するならE14 Gen 7 ILLも比較したい。
バッテリーと静音性
ILLには48Whと64Whのバッテリーを用意する。
| 項目 | 48Wh | 64Wh |
|---|---|---|
| 容量 | 標準 | 大容量 |
| 急速充電 | 最大50% / 30分 | 最大80% / 1時間 |
| 向いている用途 | 机上利用中心 | 外出・長時間利用 |
※急速充電はLenovo所定の条件下での値。
Lunar Lakeは電力効率を重視した設計であり、一般業務での消費電力を抑えやすい。
また、低負荷時の発熱を抑えることで、ファンの動作頻度を減らせる可能性もある。
海外メディアNotebookcheckでも、Lunar Lakeは従来世代に比べて電力効率や発熱、ファン音の面でメリットがあるプラットフォームとして紹介されている。
ただし、ThinkPad E16 Gen 3 ILLそのものの実測値として、ファン音や駆動時間を断定することは避けたい。
実際のバッテリー駆動時間は、CPU、ディスプレイ、バッテリー容量、画面輝度、Web会議の頻度などで変わる。
外出先で長時間使うなら、64Wh構成を優先したい。
IALとの違い
同じE16 Gen 3 Intelでも、ILLとIALでは内部構成が大きく異なる。
| 項目 | ILL | IAL |
|---|---|---|
| CPU世代 | Lunar Lake | Arrow Lake |
| Copilot+ PC | 対応 | 非対応 |
| NPU | 最大48TOPS | 最大13TOPS |
| GPU | Intel Arc 130V / 140V | Intel Graphics / Arc 130T・140T |
| メモリ | 16GB / 32GB固定 | SO-DIMM×2 |
| メモリ増設 | 非対応 | 対応 |
| SSD | 1スロット | 2スロット |
| 高速USB-C | TB4×2 | TB4+USB 20Gbps |
| 重量 | 約1.62kg~ | 約1.65kg~ |
IALはCPU性能と拡張性を重視した構成である。
特にHシリーズCPUやメモリ2スロット、SSD2スロットを必要とするならIALを比較したい。
一方、ILLはCopilot+ PCへの対応と、Lunar Lakeの省電力設計が特徴となる。
ILL:AI・省電力性重視
IAL:CPU性能・拡張性重視
という違いで考えると分かりやすい。

Gen 4との違い
2026年には、Core Ultra シリーズ3を搭載するE16 Gen 4 Intelも登場している。
Gen 4のCore Ultra版は、Copilot+ PCに対応しながら、メモリ2スロットとSSD2スロットを確保していることが特徴だ。
| 項目 | Gen 3 ILL | Gen 4 Core Ultra |
|---|---|---|
| CPU | Core Ultra シリーズ2 | Core Ultra シリーズ3 |
| Copilot+ PC | 対応 | 対応 |
| NPU | 最大48TOPS | 最大50TOPS |
| メモリ | 16GB / 32GB固定 | SO-DIMM×2 |
| SSD | 1スロット | 2スロット |
| 高速USB-C | Thunderbolt 4×2 | Thunderbolt 4×2 |
| 標準WUXGA | 300nit | 400nit |
| 重量 | 約1.62kg~ | 約1.63kg~ |
Gen 4では、ILLが持つCopilot+ PCやThunderbolt 4×2を維持しながら、メモリとSSDの拡張性が高まっている。
そのため、2026年にILLを購入する場合は、Gen 4との価格差を必ず確認したい。
価格差が小さいなら、Gen 4の拡張性にも目を向けたい。
一方、ILLが大きく値下がりしており、購入時のメモリ容量で十分なら、Lunar Lakeを選ぶ理由は残る。
おすすめ構成
ILLはメモリを後から増設できないため、CPUだけでなく購入時のメモリ容量が重要になる。
| 用途 | CPU | メモリ | SSD | 画面 |
|---|---|---|---|---|
| 標準ビジネス | Ultra 5 226V | 16GB | 512GB | WUXGA |
| 長期利用 | Ultra 5 228V | 32GB | 1TB | WUXGA |
| 画質重視 | Ultra 5 228V / Ultra 7 258V | 32GB | 1TB | WQXGA |
| GPU性能重視 | Ultra 7 258V | 32GB | 1TB | 用途に合わせる |
※実際に選択できるCPU・メモリ・ディスプレイの組み合わせは販売構成によって異なる。
一般業務ならCore Ultra 5
Office、Excel、Web会議中心なら、Core Ultra 5 226V+16GBを基本に考えたい。
CPU性能だけを目的にCore Ultra 7まで上げる必要はない。
長期利用なら32GB
数年間メインPCとして使うなら、Core Ultra 5 228Vなどの32GB構成を検討したい。
ILLではメモリを後から増設できないため、容量不足が発生してから対応することは難しい。
この点は、通常のSO-DIMMを搭載するIALとの大きな違いだ。
画質重視ならWQXGA
写真や画像を扱うなら、100% sRGBのWQXGAを優先したい。
高い解像度に加え、400nit・120Hzにも対応する。
ただし、価格がGen 4 Core Ultra版に近づく場合は、最新世代も比較して判断したい。

ほかの機種と迷ったら
この機種で決めきれないときは、用途・予算別のおすすめや、Eシリーズの中での比較を見てから選ぶと失敗しにくいです。


まとめ
ThinkPad E16 Gen 3 ILLは、Lunar Lakeと16型ディスプレイを組み合わせた、AI性能と省電力性を重視するThinkPadである。
Copilot+ PC、Intel Arc Graphics、Thunderbolt 4×2、テンキー付きキーボードを備え、デスクワークから外出先での利用まで対応しやすい。
一方、メモリは16GBまたは32GBの固定構成で、購入後に増設できない。SSDも1スロットとなる。
一般的なOffice用途ならCore Ultra 5+16GB、長期間使うなら32GB構成を中心に考えたい。
拡張性を重視するならIALやGen 4 Core Ultra版も比較したい。
16型の作業性、Copilot+ PC、省電力性を重視し、Gen 4との価格差が十分にあるなら、ThinkPad E16 Gen 3 ILLは今でも検討しやすいモデルである。
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